第9章 MACHAKO先生誕生!


その1)  初めてのサルサダンス教室 EN 横浜!

 

 横浜のダンス教室で、火曜日にサルサレッスンをはじめることが決まり、2度目のキューバでのレッスンも終え、私は自分なりの方法でサルサを教え始めました。
 今ではその教室にも、また横浜にもたくさんのサルサのレッスンがあるのですが、その頃はオーナーも「サルサって何?」っていうくらい、まだまだ横浜ではマイナーだったと思います。

 クラスの空きがその頃は、たくさんあったので、サルサの前にも個人レッスンをして、ジュニアにダンスを教えて、サルサの後にも、フリースタイルのダンスを教えていました。(まったくもって体力があるって恐いですね。。。。しかもその頃は朝3レッスン、リトミックもやっていたのです。一日7レッスンも教えていたということです。どうするよこのパワー。。。)

 最初は、やはり、「どうなるものかな?」多少どきどきしてましたけど、「大丈夫、今までたくさんダンスをやってきたのだし、何かを教えるということではだいぶ長い間、かかわっていたのだから!初心者にわかりやすく教えていくことができればいいんだ。」という前向きな気持ちでいました。
 そしてだんだん生徒さんがかよってくれるようになって、どんどんとやる気も倍増、毎回レッスンが楽しくてしかたなくなっていきました。今までは学生や子ども達対象の仕事しかしたことなかったのですが、サルサでは大人の生徒さんが集まってきたのもとても新鮮でした。自分と同じくらいの年の人や自分よりも年上の人たちに何かを教えていくことというのは初めてでしたから。

 その横浜のレッスン以外には、地元世田谷で、地道に教え始めました。
 そしてラボニータの活動も順調でした。しばらくすると横浜のカルチャーセンターからも「カルチャーで教えてくれませんか?」という話が来たので、いつのまにかサルサを週に4回ほどおしえるようになっていました。

 サルサ以外にもジュニアにダンスや、学生にダンスを教えていたので、本当に毎日殆どが「教える生活」に突入していったわけです。なにか1つでもはじめるといつのまにかそれが生活の殆どになっていくのが私の昔からの性質?ですがサルサもとうとうそういう感じになっていきました。
 なにがなんでもサルサで食べていこうという気持ちではじめたわけではありませんが、この頃になるとリトミックの仕事よりもサルサの仕事が多くなっていたのは事実です。
 いよいよ私にとってサルサを教えることが仕事として成り立ち始めたという感覚が芽生えてきました。

 

 


その2)  悩みはひとつ・・・・「男について」

 

 教えつづけていくうちに、私が一番難しいなぁと感じ始めたのは「男性に教える」ということでした。このエッセイに関しては相当に本音で書きますので、みんなひいていかないでね!よろしく!!

 今まで主に女性、子ども、などに教えることが多かった私にとって、なにかを同年代、そして年上の男性に教えないとならないのは、初めてのことです。なんせOL経験もないし、20歳すぎてからあまり男性と仕事で接したことなどはないんです。周りにも男友達が多いほうではない私にとっては、ここが一番自信のない部分だったのかもしれません。

 専門学校でずうっと教えていたから年下の学生などには慣れているのですが、同じ年くらいや、自分よりも上の生徒にうまくおしえられるのかという不安はちょっとありました。。。
 けれどもそういうこととは別の部分で、私を悩ませる問題が持ち上がってきたのです。これはサルサを教えるということにあたって、私が考えもしなかったことだったのです。
 たとえば、レッスンにくると帰り際に必ず「先生あとどれだけやったら上手くなるんですか?」とか「このステップは、あと何回でできあがりますか?」って毎回毎回聞いて帰る人がいて、毎回私は「どれだけっていっても、それは人それぞれだし、日数じゃないからなんともいえないけど、とにかく踊ったら踊った分だけ上達するとおもう。だから復習とか家でするとしないのでは違うと思うよ。とにかく地道に頑張ってね。まだ始めたばっかりなんだから!」などというのですが、納得してくれず。
 「習いにくればすぐに上手くなれる」「すぐペアダンスは踊れる」と信じてきたようで困ってしまいました。

 その生徒さんは、とにかく、すぐにペアダンスは踊れるものだと思っているようでしたから、1人で踏むステップとかムーブメントがどれだけ大事かを言うのですけど、「だってペアをやりにきたんだから」というし。話がかみあわない。

 結局、結構習ったのですがベーシックも、簡単なリードもリズムに合わせられないままその彼はやめてしまいました。
 やめてしまってから女性の生徒さんがこんなことを知らせたのです。「あの男性、六本木で見ましたよ。もう殆どナンパしにきてるみたいな感じです。踊ってるって言うよりも女性目当てなのがわかっちゃって、、、、リズムも合わないし。。。踊っても全然楽しくなかった。本当にサルサがすきなのかなぁー??」

 今はどうしているのでしょうか。。。。私は、たぶんその人はダンスや音楽が好きではなかったのだと思うんですよ。そのときは「ダンスを女性と踊りたい。」と言う気持ちだけだったのでしょうね。
 いや!別にそれでもかまわないんです。最初はそういう動機であってもね。あとから、ダンスや音楽を好きになっていくのがわかるのだったらね。でもそうじゃない人もいっぱいいるんだな。習いにくるんだな。ということにようやく気がつき始めたのです。そういうことは今まで長くダンスをやってきてはじめての出来事でした。そういう生徒さんが来るたびに、私としては困ったなぁって思ってしまうのでした。。。

 私にとってダンスや音楽はなくてはならないものです。だから教えようと思ったし、頑張ろうと思っているんですね。またジャズやヒップホップは1人で踊るものだからそういったことはレッスンで問題にならないわけです。もちろん男の先生に気に入られよう!とかそういうのってありましたけど、直接ダンスレッスンに関わってくる問題でもないですよね。。。(先生がしっかりした人なら)

 ダンスが好きで色々なダンスを踊っていた私にとっては、「男性とおどれるダンスだから」サルサが好きになったわけではないんです。
 私にとってはダンスやサルサを踊れることだけで幸せだし、そこから発展して仲間や、もしかしたら男性?との出会いなんかもあるものだと思ってるんだけど。
 どうもそういう感じじゃなくてまったく最初から「ダンスを習えば女性と出会えるんだ!」みたいに考えてきちゃってるわけですね。(そういう女性もいるかもしれないけどね)。でも、こういうことに関しては、私はホントごめんなさい。「疎い」んです!!!!
 そういう気持ちがわかんない。そういうの求めているんだったら他の方法のほうがいいんじゃないのかなぁ。もっと直接的なもののほうが、とマジで思います。ダンスやってる場合じゃないですよ。
 だって正直なところ、「ある程度上手くならなきゃ」今時の女性にもてるわけないじゃないですかーーーー。そんな、ダンスって、サルサって簡単なものじゃないでしょ?(いやぁー、、、厳しいこといっちゃたなー。いや、実際には言わなかったけどね。)言い直すとですね。上手くなくてもいいけど、「ダンスや音楽が好きじゃない人とは踊りたくない」じゃないですかー。
 こういうのって上手い下手以前に女性だったら踊ってわかる本質的な部分なんですよね。(ね!)
 もうすごく音楽が好きで踊りが好きな人とだったら多少リードがまずくても、リズムが狂っちゃっても、そんなの許しちゃうってことは実際あるんですよ。気持ちが踊りに現れてる人だったらね!でもホントにリズムなんて無視、「ワザワザワザーーそして女の子――――ぉ!」みたいな感じで踊られると、、、、、、、、(うーーーむ。。)

 こんな感じで「本当にダンスや音楽が好きで習いにきてるの?」って感じの男性生徒さんはうまくなるまで続かないんですね。(私のクラスは、、、だけかもしれないが。)仕方のないことだと思いながらもこっちは真剣ですので、なんだか手ごたえがない。自分が熱いだけに、やはりダンスに対してのそんなこと(熱さ!)を求めてしまったりするのですね。ここがレッスンを始めてみて困った点、どうしていけばよいかと思ったことです。
 もちろんちまたでは「サルサで素敵な出会い!」みたいなことが騒がれていたのもあったとは思うのですが、実はそうやってダンスをすぐに恋愛に結び付けるとかそういうの自体が、自称硬派の私としては、ダンスを軽視されてるみたいでいやなんです!!

 しかしこんなこと言っても、わかってもらえない人にはわかってもらえないと思います。(とほほ)

 そして、最近もまだ思っていることなんですが、女性に男性のリードを教えるのは実はそんなに難しいと感じてないのですが、男性に女性をリードするということを教えるのは本当に難しいと思います。
 こんなことをいうと男性陣から「女性に女性がリードできるのか?」といわれそうだけど、答えはしっかりだせているのです。「できます!」女性は女性の気持ちがわかるから、「強くひっぱったり」「力で押すような」のがリードじゃないと「身体」でわかってるので、力の加減もわかるし優しくリードするコツをつかむのが早いんです、でも男性は基本的に女性の気持ちがなかなかわからないのですから。。。。
 技とか以前にそういう基本的に「女性の気持ちを理解する」という点で難しいのです。そして前述したような「まず女性と踊ることが目的」みたいなだけの男性には、一番遠い部分だと思うんですよね。。。。

 今までジャズダンスや、ヒップホップをずうっとやってきていましたけど、そういうダンスと明らかに違うのが「こういうことをきちんと話してわかるように説明しないとクラスがなりたたない」という点です。

 サルサは、他のダンスとまったく違う教えるテクニックが必要だと実感してきました。苦手苦手と逃げていないで、そういう「男というもの」を理解しないとだめだってガツンときました。
 教えだす前は、ラボニータで女性ばかりに教えていたわけですからね。
 だけどリトミックでつちかった教えのタイミングはとてもサルサを教えるのに役にたちカリキュラムの組み立てなど、それ以外のたとえば「レッスン内容をどうしよう。」などということで悩むことはあまりなかったのです。

 話を戻すと、キューバの男性陣は小さい頃から「女性に優しく」と育てられています。レディファーストもしっかり身についてます。そういう「基本」が自然にある。だからサルサも上手く踊れるのだと教えてみて初めて実感しました。
 もちろんそう一言でいえるものでもありません。キューバ人でも乱暴なリードの人はいっぱいいるし(これはもう手におえない感じです、、、、痛いんだよ!ホントやめてくれーー!って感じ。)、日本人でも優しくリードができる人はたくさんいます。
 つまり何が違うかというとそれは「女性の気持をわかってるか?」「本当に音楽、そしてダンスがすきなのか?」ってことが基本にあるだけだと思うのです。こういうことを伝えていかなければ絶対男性は発展しない。。。。。

 その頃から私は「男について、そして男性リードについてもっともっと勉強したい!」と以前よりもさらに強く考えるようになりました。だって気持ちいいリードができない人が増えるのだけはいやだったんですよ。男性って本当に次々技を覚えたがるんですけど、、、上手く踊る人を育てるのにはそういうことだけをおしえてても絶対だめだと思いました。
 ものすごく「もっとやってみたい、もっとキューバ人のことも知りたい、もっと色々リードをやる気のある男子に教えてみたい」と願うようになっていったのです。それだけ、このことはMACHAKOという女性インストラクターとしてハードルの高い部分だったからです。

 「今以上にもっと!自分もうまくなり、そして色々なことを男性に教えられるようになる!」
 私はその方法を考え始めていました。そして私がそうなったら手ごたえのある男性生徒ももっと現れてくるのではないかと信じたのです。長い道のりの始まりでした。

 

 


その3) MACHAKOの新たな決意!それは。。。

 

 そんなこんなで教え始めての一年目はあっという間に過ぎていったのです。だけど私はその年の夏。つまり教え始めて3,4ヶ月くらいたって「男性に教えるのって大変」と思い始めてから、あることをすでに決めていました。

 それは「来年はキューバに住む」ってことです。
 今までもダンスをレッスンした量は、人に負けてないと思ってましたけど、やっぱり何かが足りない。それは向こうの生活をしてないからだ。って思ったの。もっとキューバ人を知らないとダメだと思ったの。そしてサルサはサルサだけじゃない、もっと以前からのキューバダンスを勉強しないと理解が深まらない。とも思いました。なんとか仕事を数ヶ月休んで(勝手に決めている・・)、キューバに住んでもっといっぱいダンスを勉強するんだ!!!って決めました。

 それでその目的のために実は着々と女性のアシスタントを育てていたのです。

 それが現在活躍している「SIORIN先生」そして今はおかあさんになってしまった「YOTTI」です。2人には「来年は私は3ヶ月はキューバに行くから2人はアシスタントとして代行できるように頑張ってね。」とことあるごとに言いつづけ思い込ませ?!2人をその気にさせました。(実際SIORINは週に4回はレッスンしていたと思う。)

 とにかく「やる」と決めたら絶対やってしまうのが私ですから、普通だったらたくさんの生徒を抱えて何ヶ月も日本を留守にはできない先生業ですが、「絶対この2人(SIORIN&YOTTI)だったら代行ができる。」って信じて色々なことを教えていきました。「来年もサルサを教えつづけるためにはどうしても自分にはその経験が必要だから!」って言ってね。(笑)

 その頃はとにかく「もっともっと上手くなりたい」「もっともっと男役を覚えたい」「教えたい」「グループで色々なダンスをもっと発表していきたい」などなど、、、数々の野望が芽生えていたので(笑)日々のレッスン。そして来年のキューバ生活のことで頭がいっぱいでした。
 だけど困ったことに、私は今まで2回キューバにいったわけですが、キューバにはそんなに知り合いもいないし、書いてのとおりあのような、はちゃめちゃなキューバ旅行経験しかないのでさすがに 3ヶ月もなにもわかんないまま行くのってやっぱり不安だなーっていう気持ちがあったのです。
 けれど、その不安がこれからの MACHAKOにとってなくてはならない人物をひきよせていったのかもしれません。そう。不安さえもプラスにこのときは作用していったのです。

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